2016年4月21日木曜日

皐月賞回顧 2016


レース総括
■前半~道中が速く、勝負所~直線では大きく加速する展開
■高い持久力と、(先行馬は)切れor(差し馬は)持続力が問われた


皐月賞結果
ディーマジェスティ1.57.9 34.0 14-14-12-10
マカヒキ1.58.1 33.9 17-17-15-13
サトノダイヤモンド1.58.3 34.8 08-08-09-05
エアスピネル1.58.4 35.5 05-06-06-03
リオンディーズ1.58.4 36.1 02-02-01-01
マウントロブソン1.58.6 36.0 05-03-02-02
ナムラシングン1.58.7 35.1 10-11-09-05

天候:晴 芝:良
上り4F:48.0 3F:35.6
前半1000m:58.4
12.0-10.7-11.5-11.7-12.5-11.5-12.4-12.2-11.6-11.8




レース詳細
ラップタイムを見ると、前半は相当に速く、尚且つスピードがなかなか落ちない
流れで、道中も大きな緩急がつきながらも水準の高い展開、そこから3~4角で
一旦溜めてから→直線でしっかりと加速する形。

今回の特徴は、まずは前半~道中の水準の高さで、特に向かい風だったという
向こう正面の厳しさは特筆すべきもので、(位置取りに関係なく)当然上位に
入るためには、高い持久力を備えていなければ難しかった。

また適性面では、向こう正面~直線における「締めて→溜めて→切れる」という
(強い逃げ馬が後続に脚を使わせるためにする様な)デムーロJの演出により、
先頭集団と後続では少し異なった資質が問われたように思える。

つまり前者に関しては、溜めを効かしてからの→"切れ"が素直に問われた形で、
ラップの落ち着いたコーナー部分でしっかりと追い上げた後者に関しては、道中
~上がりに掛けての持続力が問われた…という印象。

どちらにしても今回の場合、まずは地力がなくては浮上する(残る)ことは難し
かったことは間違いないので、この先に向けては、下位からの巻き返しに期待
するよりも、単純に上位陣の中で(適性面での)上げ下げをする…ということに
なっていきそう。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

ディーマジェスティ
中団の後ろくらいから進めて、前半は一応溜めた形だが、3コーナー辺りからは
しっかり追い掛けつつ→直線の加速にも遅れずについて行き、そのまま最後まで
良い脚を続けて突き抜けた内容。
これはかなりの持続力を発揮したと言っていい。
当然その地力は素直に認めるべきで、この先も普通に活躍し続けるはず。
ただし走法的には、ディープ産駒だけにチョコチョコとまでいかないものの、
(ブライアンズタイム由来の)ある程度刻むイメージのタイプなので、周りの
馬と比べると、小回りやスピードという方向に(相対的に)向いている部分が
あったことは事実。
その点で、2400mよりも2000m…という雰囲気ではあるため、ダービーでは、
例えば今回のように外を回すような格好になった場合に、浮上し切れないことも
十分考えられる。慎重に扱いたい存在。

マカヒキ
今回の場合、この馬のポジションでも前半を完全に受け流したとまでは言えない
くらいのペースだったのだが、相対的にはやはり前半で溜められた格好だし、
(道中からある程度追い上げてはいるので、ジワジワと脚は使っているものの)
勝負所までじっくりと進められた点で、一応は恵まれた立場ではあった。
それでもこの展開の中で浮上したこと自体、十分な地力の証明にはなるし、扱い
としては、単に"はまった"ということにはもちろんならないはず。
一方で適性面では、ディーマジェスティとは対照的に直線でのギアチェンジが
上手くいかず、ラストも印象としては少し惰性になっていたので、やはり持続力
よりも切れのタイプ…という印象は受けた。
その点、東京に舞台を移してパフォーマンスを上げる可能性は考えられるが、
他に前進が見込めそうな馬もいる中で、脚質的に絶対…とは言い切れない。
扱いの難しい存在になりそう。

サトノダイヤモンド
速い前半にはある程度引っ張られつつも、後半は早めに動かなければならない
…という部分で、今回の展開に対しては(溜められる場面がないという意味で)
最も厳しい位置取りだったように感じる。
特に3~4コーナーに関しては、ナムラシングンが外から捲るような動きをした
ため、それに被せられないように脚を使わざるを得なくなって、普段真っ直ぐに
力を使うことを意識している(と思われる)ルメールJの思惑がズレてしまった
…という印象を受けた。
したがって今回の場合は、直線でヨレたリオンディーズの煽りを受けたことも
含めて、幾つかの不運が重なった結果…ということは確実に言えそう。
ただしどちらにしても、世代の中での絶対的な存在(これは個人的な幻想だが)
…という扱いはこれで終了。
この先は実力馬の中の適性的な上げ下げの対象に、この馬も加わることになる。
その点、ゆったりとしたイメージから京都の方がより向くとは思うが、単に広い
コースに替わるという点で、ダービーでの前進は見込めるはずで、引き続き中心
的な存在であることには違いない。当然注目していきたい。

エアスピネル
速い前半にある程度つき合いつつ、最後も不利を受けながらも粘り込んでいるの
だから、高い地力を示したことは間違いない。
ただし(勝負所で一応は溜められる格好になった)先頭集団の中では後方に位置
していたことから、上位の中では相対的に恵まれた方ではあるので、次戦で前進
する…という感覚的にはならない。
タイプ的にも、やはり距離延長して良くなるイメージではないし、その点では、
ダービーという選択は微妙…には感じる。

リオンディーズ
スタート直後から速いペースで進めて、向かい風の向こう正面から仕掛けつつ、
(一旦溜めて→)直線に入ってからもしっかりとした脚を使って粘り込んだ形。
もちろん最後は周りに迷惑を掛けた格好になったが、ラスト100mくらいまでは
先頭をキープしていた訳だし、これは相当に強い競馬だったと言えそう。
今回デムーロJが実際にどのような思考をしたのかは分からないが、その挙動を
考えると「直線部分で真っ直ぐに力を使った」と言えるので、結果的にこの馬の
パフォーマンスを引き出すには良い選択だったのでは?と(個人的に)感じる。
次戦に向けては、この馬の場合、距離延長して気性面の問題はやはり出てくるの
かも知れないが、それ以上に、タイプ的に直線の長い東京に替わっての前進度は
大きいはずだし、今回示した持久力&切れを考えると、かなり有力と思える。
もちろん直前でもう1度しっかり考えたいが、高い評価にはなりそう。

マウントロブソン
前半から積極的な競馬をして、向こう正面でリオンディーズをけしかけるような
動きをして、間接的に今回の展開を作り出した黒幕。
それが自身にとって有利に働いたのかどうか微妙だが、どちらにしても、厳しい
ペースからの粘り込み。強い内容ではあった。
ただしタイプ的には、やはり"切れる"というよりも"続ける"という方向性の馬
だとは思うので、ダービーでの前進は結局微妙。
将来的には中距離・持続力勝負の特化型になるのでは?というイメージ。
夏の予定は知らないが、小倉記念への出走があるなら、今すぐにでもエントリー
したい感覚ではある。

ナムラシングン
中団の少し後ろから進めて、3~4コーナーでしっかり捲るような競馬をして、
そこから直線は伸び切れずに惰性でなだれ込んだ内容。
今回&前走のパフォーマンスからは、一定の地力は当然認められる。
道中~上がりでの持続力が売り…というこの手のタイプの場合、(切れが問われ
ない)どこかで輝ける瞬間がやってきていいはずだし、その点、距離延長は一応
1つの答えにはなる。
切れが必要なダービーは無理だとしても、(もし脚質転換が出来るのであれば)
菊花賞ならばあるいは…ということもあるのかも知れない。
適鞍を見極めつつ、注目はしていきたい。



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