2008年11月5日水曜日

天皇賞(秋)回顧 2008


天皇賞(秋)結果
ウオッカ1.57.234.407-07-07
ダイワスカーレット1.57.235.201-01-01
ディープスカイ1.57.234.506-05-05
カンパニー1.57.233.516-16-16
エアシェイディ1.57.334.408-07-08
サクラメガワンダー1.57.534.509-09-09
オースミグラスワン1.57.534.014-15-15

天候:晴 芝:良
上り4F:46.9 3F:35.2
前後半:58.7-58.5
12.6-11.1-11.5-11.9-11.6-11.6-11.7-11.3-11.3-12.6



レース評
ナイスレース!
天皇賞はウオッカがダイワを2cmのハナ差で抑えてのレコード勝ちに終わった。
久しぶりにエキサイトさせてくれたレースだったし、ここまで4コーナーでの
ゾクゾク感を味わったのはディープインパクトが走っていた時以来だと思う。

その1番大きな要因はダイワスカーレットが自ら逃げて作り出した、これぞ
G1という厳しい流れとなったことにある。
ラップタイムを見れば11秒台がズラリと並び、馬場によるバイアスがかなり
掛かっていたとしても、これだけ淀みのない展開を作り出して2着した
ダイワスカーレットには本当に頭が下がる。
そしてこの流れの中、外々を回る距離的な不利があったにも関わらず、
再度伸びてきたダイワを最後まで抑え切ったウオッカにも、
これまで経験したこともないような格段にレベルの高いレースにおいて
しっかりと脚を伸ばしたディープスカイにも心から称賛の拍手を送りたい。

馬場に関しては相当速い状態だったのは確かだが、1秒速いとしてもラップは
12.7-11.2-11.6-12.0-11.7-11.7-11.8-11.4-11.4-12.7
となり道中の締まった展開は変わらず十分レベルが高い。
もし2秒速いとしても(恐らくそのくらいの状態だが)
12.8-11.3-11.7-12.1-11.8-11.8-11.9-11.5-11.5-12.8
というラップになり、多少ラスト1Fの落ち具合が気掛かりとはなってくるが
これでも道中の厳しさは十分に伝わってくる。

ラスト1Fの攻防については、ダイワを交わして一旦前に出たウオッカと
ディープスカイにダイワが再度差し返してくるという構図。
つまりラスト1Fについてはウオッカとディープがほぼ12.6秒を刻んでいるのに
対して、ダイワはそれよりも速いラップでまとめていることになる。

ラスト3Fのラップが11.3-11.3-12.6であるから、3頭それぞれのラップは
以下のように推測される。
 ウオッカ 10.7-11.1-12.6
 ダイワスカーレット 11.3-11.5-12.4
 ディープスカイ 10.8-11.1-12.6
元々ダイワスカーレットはラストまで持続する脚が持ち味であり、
そのあたりにこの馬の"強さ"を垣間見ることができるのだが、
今回、これだけの速い展開であっても持続する脚が使えることを証明した形。
これに対してウオッカとディープスカイは勝負所での切れ味に比べて
ラスト1Fの持久力という点では少し不満が残る。
ウオッカについては以前からその部分に不安定さを抱えていることは明らかで
あったが、ディープスカイもそのあたりに不安を残していることが分かり、
この先の課題になってくることが予想される。

細かい事はとりあえず置いといて、強い牝馬2頭が真正面から牡馬たちの
挑戦を受け、それを退けたという今までにない、今後あるのかどうかも
分からない、もの凄く価値の高いレースを目撃できたことは幸せなことだと思う。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

ウオッカ
ダービー、安田記念、天皇賞という格の高いレースを勝っている点では
桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯という牝馬限定のG1しか勝っていない
ダイワスカーレットを凌いでいるように感じるが…。
実際には今回のレースではどちらの力が上かということがハッキリして
しまった感じも受ける。
できれば成長してもっと持久力がついてくれればいいと思っていたが、
結局はそれも叶わず、今回ももちろん強い競馬をしてはいるのだが、
ラスト1Fの粘りは物足りなさを感じてしまった。
それでも何とか残れたのはラストの脚がいつもより鈍ったライバルの出来に
よるところが大きい。
この馬が過去の名牝と比べても遜色ないのは間違いないが、今回のレースで
ライバルの方は牡馬を交えた過去の名馬と比べても遜色ない、もしくは
かなりの部分を越えてしまっている程のパフォーマンスを見せた。
レースの中身も加えてそれに勝つためには並大抵の努力では足りず、この馬の
レベルであっても、一から鍛え直すくらいの覚悟が必要なのではないか。
どちらにしてもこの馬を応援するし期待もするが、もう1段レベルを上げた
ウオッカというのも見てみたい気がする。

ダイワスカーレット
本当に強かった。
その一言で足りるくらい、勝ちに等しい2着という言葉はこの先簡単には
口に出してはいけないのではないか。
それ程の圧倒的なパフォーマンスだった。
今回のハナ差負けの原因を辿ってみれば、
ラスト1Fの甘さ→道中で緩められなかった→気合が乗り過ぎていた→休み明け
という一言で片付いてしまうような明らかな原因があった訳だが、
逆に道中をあまり緩められなかったことで改めて自らの実力を証明してみせた。
そして今まで未知の領域であった道中が締まった展開でのパフォーマンスにも
全く問題がないことが証明され、これでほぼ弱点は無くなった形。
さらにここを叩いたことで、次戦のラスト1Fは盤石の状態となった。
これだけの馬が牝馬限定G1しか勝っていないのでは誰も納得しない。
格の高いG1をさっさと1つ勝って欲しい気持ちで一杯。
そして来春こそドバイWCへ出走してほしいと今から思っている。

ディープスカイ
予想以上に強かった、というのがまず第一に感じたこと。
格で言ったら1つも2つも一気に上がるレースにおけるパフォーマンスとしては
本当に満足できるものだったのではないか。
普段通りの道中が多少緩む天皇賞であればまだしも、これだけ締まった展開と
なったレースにいきなり対応できたのは潜在能力の高さを証明するものである。
もう一つ感じたことは、ラスト1Fを粘り切るような持久力に少し不安が
残るということ。
やはり前走ラストのラップが11.2-11.9-12.6というようにガクっと落ちて
いたのは、逆の意味でフロックではなかった。
このラスト1Fを粘る持久力は成長によって馬体がしっかりとしてくれば
解消されるケースもあるので(アドマイヤムーンがその例)来年になれば
大丈夫になるかも知れないが、とりあえず今年のジャパンCまでには
さすがにどうにもならないだろう。
今回はある程度の好位からレースを進めてラストが続かなくなった訳だが、
ジャパンCでは今回と同様なレースでは厳しくなるかも知れず、
少しポジションを下げた方がいいかも知れない。
力はもちろん認めるし、来年はこの馬中心となるのは間違いないと思うが、
今年のジャパンCでは過大評価は禁物だと言っておきたい。

カンパニー
あそこまで後方から進めるとは思っていなかったが、これだけ道中が締まった
展開においてはそれが逆に功を奏した。
その展開の利ということもあるにはあるが、上がりが33.5秒という圧倒的な脚で
唯一33秒台を記録しているように、やはりこの馬の持続力&持久力は相当高い。
予想の段階でも毎日王冠組では3番手に強い馬としたが、とりあえずその見解は
間違っていなかったし、結果的には馬券には絡まなかったが、締まった展開に
なれば、この馬のように持久力の高い馬が穴を開けるということが確認できた。
(この馬を穴だとは全く思わないが、11番人気ということで…)
この先はマイルCSだと思うが、そこでも問われている特性は似ているので
確実に好走してくると思うし、狙いたい1頭である。(人気しそうだが…)

アサクサキングス
これだけ締まった流れとなってしまってはこの馬には厳しくなるのは当然で
持ち味を全く活かすことが出来なかった。
道中からこれだけのスピードで走られたら、飛びが大きくてゆったりとした走法の
この馬ではまともに走らせてもらえなかった。
そして最後はほとんどもがき苦しむような状態で完走しただけのレースとなった。
今回は中距離といってもまるで1600~1800mかのようなレース展開となったために、
自分のペースで走ることが全く出来なかったが、JCか有馬記念において
道中が一旦は緩むような展開であれば、本来の自分の走りを取り戻して
十分に巻き返せる可能性がある。
そして今回の凡走によって人気が余りにも落ちているようなら思い切って
狙ってみるのも面白いかもしれない。



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