2019年10月30日水曜日

天皇賞(秋)回顧(ラップ分析)2019


まとめ
  • 道中締まった流れからの早仕掛け→直線は右肩下がりという展開。
  • 高い持続力(&持久力)が問われた。

天皇賞秋結果

アーモンドアイ1.56.2 33.8 05-06-05
ダノンプレミアム1.56.7 34.5 05-05-03
アエロリット1.56.7 34.8 01-01-01
ユーキャンスマイル1.56.8 33.7 13-13-13
ワグネリアン1.56.8 34.0 11-11-09

天候:晴 芝:良
上り4F:45.6 3F:34.3
前後半1000m:59.0-57.2
12.8-11.4-11.5-11.6-11.7-11.6-11.3-11.1-11.3-11.9




レースラップ分析&雑感

ラップタイムを見ると、(馬場を考えれば)前半はミドルペースくらいの流れ
だが、道中はやはり締まった展開。そこから勝負所では早めにペースアップして
→直線は完全に右肩下がりの形。

何はともあれ、アエロリットらしい展開。
前後半1000mで言えば2秒近くの後傾戦ではあるのだが、しっかりと息を入れ
られる瞬間がなく、尚且つその状態からの早仕掛け。内容的には「上がり勝負」
と表現できるようなレースではなかった。(もちろん定義には依るのだが)

ラスト1Fの地点で俄然先頭に立ち→そこから突き放したアーモンドアイですら
最後は11.9秒まで落としている訳だし、ましてや同馬抜きで考えると、上がりの
ラップはおそらく11.1-11.5-12.2(34.8)という感じ。

方向性としては、脚が上がってから→どうやって持たせるか?という粘り勝負
だったと言っていいはず。

当然この展開なので、まずはレースを通してそのスピード水準に耐えられるか?
というのが重要になり、適性的には高い持続力(&持久力)が問われた。

そして、そこからの"惰性力"(根性という表現を避けるために、ことわりもなく
使ってしまっている完全なる個人言語)。おそらくそれは、持久力(心肺機能)
の高さ、体幹の強さ、フットワーク、バネなどの複合的な要素で決まるものだと
思うが、ラスト1Fの強さのある馬が上位に粘ったor浮上したイメージ。

また、このアエロリットの展開では、特に高速で流れる4コーナーを、いかに
ロスなく回すか?というのが重要。枠はもちろんだが、騎手の意識による部分も
少なからず結果を左右した雰囲気ではある。


豪華なメンバーで行われた天皇賞。その馬たちをもってしても、アエロリットを
上回ることがいかに大変なことか?が証明された訳だが、その中で(ロスのない
競馬とは言え)3馬身離したあの馬は何なんだ!ということ。

結局のところ、今回はそれに尽きるのだが、他の馬に目を向けてみても、地力の
裏付け、適性面での得手不得手など、この先に向けて収穫の多い1戦だった。
それぞれの進路での活躍に、当然期待しておきたい。


各馬について

出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

アーモンドアイ
内枠発走から、最内を回って、直線も満を持してのイン突き。最も強い馬が最も
ロスなく進めたら、まぁこうなる。…のだが、やはりそれだけではなさそう。
レースラップのラスト1Fはこの馬自身のものなので、形としては一応落としては
いるのだが、好位から進めた他の馬の脚が上がっている(惰性になっている)
中で、唯一最後までしっかりとした脚を使えていた内容。
実際に、ある程度高い位置取りから進めながらも、後方からじっくりという競馬
だったユーキャンスマイルとほぼ同じ上がりだった訳だし、単純に余力の部分で
1つ違ってしまっていたイメージ。化け物でも何でも、表現はともかく、強い。
次走はジャパンCor香港とのこと。もはや、そうなんだ…という感想しかない。
この馬が走っている時代に競馬を見ていて良かった。そういうレベル。
シンプルに楽しみたい。

ダノンプレミアム
(特に)道中水準の部分での、地力の裏付けを大幅に更新。
それと同時にアーモンドアイとの差も証明されてしまった訳だが、とにかく、
これでもう重箱の隅をつつくようなことはしないで済む。
内容的には、相手よりも終始外を回して、4コーナーでは更に外に持ち出す形。
それを考えれば、着差ほどではない…と一応は言ってもいいかも知れない。
この馬がここまで脚が上がった感じになったのは初めてだが(ダービーでも上げ
切れなかった…というだけで、ゴール後は自然と先頭に並んでいる)、それでも
踏ん張り通した心肺の強さ。例年の天皇賞馬くらいの価値は十分にあるはず。
この先に関しては、(筋力というよりも)中身の良さで勝負しているイメージの
タイプなので、個人的には距離延長も問題ないとは思う。

アエロリット
(馬場を考えれば)速くも遅くもない入り方が出来た。これがまずは大きい。
その後は、2000mなりにコンマ1秒(/F)程度水準を下げているだけで、これまで
この馬がやってきたことをそのまま再現…という内容。戸崎Jのペースメイクは
完璧と言って良かったのでは。
そして、その展開の中での強さは相変わらず。周りのメンバーが大幅に強化…
という状況でも、結局上回ったのは2頭だけ。素晴らしいの一言。
この先に関しては、京都が最早スピードを活かせる雰囲気ではなくなってきて
いるため、正直難しいのだが、それならばいっそのこと香港はどうか?
道中~上がりという脚の使い方、そして中山記念で最強!のウインブライトと
接戦を演じた馬でもある。動向に注目。

ワグネリアン
スタート直後、同じように外枠から→ポジションを取り切れなかった…という
雰囲気のアルアイン、ランフォザローゼスなどが終始外を回ったのに対して、
この馬は道中で中に入れて勝負所もロスなく…という内容。インディチャンプで
アエロリットの展開は慣れている鞍上だが、これは好騎乗と言っていいはず。
(騎手のレベルアップという点では、高速馬場はプラスに働いている気はする)
馬自身に関しては、(真っ直ぐに力を使う形でも)直線少し上げ切れない雰囲気
だったし、結局この馬にとっては持続方向に寄り過ぎ…なのかも。
それでも、ラスト1Fではしっかり詰めて→ゴール後は先頭近くまで行っていて、
終いの惰性が効くところは改めて示した格好。中身の良さはやはりある。
ジャパンCがもっと切れ方向に寄るのであれば、前進もあっていいはず。



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