2011年7月1日金曜日

宝塚記念回顧 2011


レース総括
■前半相当速く、一旦落ち着く形から、最後まであまりラップの落ちない展開
■持久力&(特に後続は)末の持続力が問われた


宝塚記念結果
アーネストリー2.10.1 35.1 02-02-02-02
ブエナビスタ2.10.3 34.5 11-11-12-11
エイシンフラッシュ2.10.3 34.7 09-09-08-08
ローズキングダム2.10.4 35.1 05-05-04-04
ルーラーシップ2.11.0 35.3 14-13-10-08
ハートビートソング2.11.1 36.0 03-03-03-03
ダノンヨーヨー2.11.1 35.6 07-07-06-05

天候:晴 芝:良
上り4F:47.2 3F:35.2
前半1000m:58.7
12.3-10.5-10.8-12.7-12.4-12.1-12.1-12.0-11.5-11.7-12.0




レース詳細
ラップタイムを見ると、前半が相当速くなり、道中は一旦落ち着いてから徐々に
ペースアップして、勝負所で加速した後はある程度速いスピードを維持する形。

今回の特徴は、とにかくまずは前半の速さだと言えて、長い隊列の後方に位置
していた馬でも、そこでしっかり引っ張られているので、当然かなりの持久力が
必要とされた。

その後レースは(馬場の速さもあって)まずまずの水準で流れて、道中は隊列が
大きく2つに別れる形で進んだ訳だが、後続の動向を見てみると、6F~8F目の
12.1-12.1-12.0という(前の馬には)フラットなラップを刻んだ区間において、
ほぼ一定の割合で差を詰めているように見える。

つまり今回の後続は、緩んだ箇所で差を詰めたとかではなく、しっかり速い脚を
使う(使わされる)形で差を詰めていて、内容的には超ロングスパート戦という
イメージで、そこを(相対的に)溜めた先行勢とはレースの性格が少し違って
いた可能性がありそう。(これがもう1つの大きな特徴だった)

したがって今回の場合、どちらにしてもレベルの高さは変わらず、上位の地力は
当然認められるが、前の馬にとっては切れ(正確には余力の差)勝負、後ろの馬
にとっては末の持続力勝負という2つの顔を持つ性格上、(例えば隊列がもっと
短くなり前の仕掛けのポイントが早くなるなど)同じ土俵で戦った場合に、上位
数頭の中で結果が異なってくる可能性…というのはありそう。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

アーネストリー
昨年と比較すると、馬場の速さがあるので道中は少し溜めた印象にはなるが、
それを差し引いても、前半であれだけ脚を使いながら勝負所では十分な余力を
見せつけていて、レコードが示す通りのハイパフォーマンスだった。
この馬の場合、切れがないというだけでなく、トップスピードの持続という点で
少し難があり、G1では地力は示しても、結局は勝ち切るところまでは難しい
イメージだったが、今回のように前半をトコトン厳しくする形が、それを覆す
1つの答えになった…という雰囲気。
つまり昨年のように、前半少し速いくらいで、道中を締めつけて切れ勝負を回避
するパターンだと、隊列のアドバンテージをあまり取れないまま、自身も長い
脚を使う必要があるのに対して、上記のパターンだと前半で距離を稼ぐor後続の
脚を削る(切れ勝負回避の)作業を終えられて、道中は一旦溜めることが出来る
ので、あとは勝負所で最後まで自分の脚が続くタイミングで仕掛ければいい。
次戦以降、例えばこれを東京で再現するには、鞍上の相当な覚悟と理解が必要に
なるだろうが、その点も含めて今後も注目しておきたい感覚。

ブエナビスタ
前半引っ張られる展開で、実質ロングスパートの内容でも、最後までしっかり
伸び切っていて、持ち前の持続力は十分発揮している。
それでもこの馬の持久力の高さ(道中の自然な速さ)を考えたら、もっと追い
掛けても大丈夫だった気はして、今回は勝負所までの位置取りが全て、結局の
ところは相手を間違えた…という雰囲気。
何の問題もなく秋も期待したい。

エイシンフラッシュ
今更スローの切れ勝負方が…ということを言われても、元々その方面では最強
という扱いの馬で、むしろ道中などの地力の面が追いついてきた経緯なので、
単純に今回は、前半で引っ張られる展開に対する1つの裏付け…ということで
いいだろう。
その意味では、完璧な騎乗でも結局前を捕らえられず、後ろにも差された…と
悲観的になる必要は全くなくて、むしろこのくらいの展開までは十分こなせると
前向きに捉えたいところ。
当然戦いの性質自体が上がりの方向に寄れば、この先の出番はあると考えたい。

ローズキングダム
ある程度好位から進めて、最後もしっかり粘り通しているのだから、この馬自身
十分な持久力を発揮している。
それでもタイプ的には、前半or道中で極端に脚を使うことなく、道中の水準と
素直に切れで勝負できる舞台の方がやはり合いそうなイメージで、そう考えると
結局今年もJC?という雰囲気にはなる。

ルーラーシップ
他の後続にとっても超ロングスパートという扱いの内容だが、この馬に至っては
それを先導する役割を担って、2コーナー過ぎから仕掛けているようなもので、
データ的に見てみると、道中の数値が完全に異常。
とにかくこの内容で最後止まるなという方がおかしいくらいで、それが出来る
ような馬であれば、強い4歳勢の中でも既に絶対王者になっているはず…。
したがってとりあえずは次戦以降の巻き返しに期待…ということになりそうで、
万が一今回の結果を受けて、4歳の中で力関係的に少しでも下に見られるような
ことがあれば、普通に狙っていきたい感覚。

ハートビートソング
前半でしっかり脚を使う形からでも、最後まで良く粘っていて、一定の地力は
示した内容。
極端な脚を使うタイプでもないので、今回の上位陣に対してはどんな展開でも
何とかするのは難しいだろうが、とりあえず普通の重賞レベルに戻れば大威張り
していいはず。注目したい。

ドリームジャーニー
昨年と比べれば良く走っているくらいの内容だが、タイプ的に前半~道中で脚を
削られ過ぎる展開では結局厳しかった。
この馬には適性面の考察…などの過程でかなり勉強させてもらったが、個人的な
姿勢としては、応援というよりも観察という方が近かった。
現役時はそんな見方しかできなかったが、この先はステイゴールドの後継種牡馬
として素直に応援したい感覚。

アサクサキングス
この馬も自分の中で"適性"という概念を築いてきた過程で、絶対に欠くことの
出来ない存在だった。色々教わった。
菊花賞以降、結局G1に手が届くことはなかったが、勝負所で見せていた抜群の
存在感だけは忘れない。(その点が強さでもあり、弱さでもあった)
素直にお疲れ様と言いたい。


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