2011年12月8日木曜日

JCダート回顧 2011


レース総括
■前半かなり速く、道中は一旦落ち着いて、上がりで少し加速する展開
■高い持久力(&切れ&末の持続力)が問われた


JCダート結果
トランセンド1.50.6 37.4 01-01-01-01
ワンダーアキュート1.50.9 36.8 11-11-13-13
エスポワールシチー1.50.9 37.6 02-02-02-02
ラヴェリータ1.51.0 37.5 05-04-04-03
ダノンカモン1.51.1 37.5 07-08-04-04
ミラクルレジェンド1.51.1 37.1 11-12-13-13
ヤマニンキングリー1.51.1 37.0 13-14-13-10

天候:晴 ダート:良
上り4F:49.7 3F:37.4
前半1000m:60.9
12.5-10.5-12.8-12.4-12.7-12.3-12.2-12.0-13.2




レース詳細
ラップタイムを見ると、前半相当に速く、道中は向こう正面が一旦しっかり落ち
着く展開、その後ラスト4F~2Fで徐々に加速して、ラスト1Fはかなり落ちる形。

今回の場合、まずはダートがパサパサの状態だったことによって、ラップの額面
以上に速い前半という点と、明らかにスピード<パワー寄りの馬場だったという
点が大きな特徴となっている。

その後の展開としても、格上の馬が逃げて、唯一それに対抗できる馬が圧を掛け
なかったことで、(傾向の記事中で示した)道中で"敢えて"ペースアップしない
…ということが起こっていて、結局はハイペースからの溜め→切れという形で、
持続力<持久力というイメージのレースになった。

実際に過去3年のレースでは、完全に道中>上がりという形だったのに対して、
今回は道中=上がりという形になっていて、これまでのスピードに偏った展開と
比べると、少し異なる適性が問われる展開だったと言える。
(⇒今回はマイラーよりも"溜め"が効く中距離ランナーに向いた印象)

もちろんこの展開でも地力はしっかり問われていて、上位の実力は信頼していい
と思うが、(単純に能力で)格上…という扱いの2頭はともかく、それ以外の
馬の序列に関しては、2着~11着までが0.4秒差という僅差に収まっていること
からも、適性面の影響を少なからず受けているはず。

したがって、それらの馬が3コーナーからの速い区間で内外どちらを回ったか?
…という点なども含めて、この先の重賞戦線に向けては、細かい上げ下げが必ず
必要になってきそう。

また新旧王者対決に関しても、(実力的にも勝ち馬の方が結局強いとは思うが)
一旦落ち着く形になったことで、AWレースにも対応してみせたトランセンドの
上がり性能が活きた点と、エスポワールシチーが3~4コーナーで1頭分外を
回った点あたりが、勝負の明暗を分けた…という雰囲気ではある。

そして、それら全てを決定付けたという意味で、今回は"藤田Jの覚悟"に尽きる
一戦だったとも言えそう。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

トランセンド
トウショウフリークが何故かすんなり譲ったというのもあるし、結果的に強引な
格好にもなったが、今回は藤田Jが行くと決めた瞬間に全てが決まった印象で、
あとはマイペースで後ろを引きつけつつ、溜め→切れを発揮した強い内容。
エスポワールシチーとの比較では、今回はこの馬に向いた点が多かったにしろ、
この馬自身道中が締まってダメな訳でもないし、結局は適性面の幅の広さという
観点から、やはりこちらが上…という扱いになりそう。
これで何の文句もなく最優秀ダートホース…となるだろうが、そうなると次の
興味は、"目の上のたんこぶ"スマートファルコンとの勝負…という1点だが、
どうせなら大井での戦いよりも、派手にドバイでの決戦が見てみたいところ。
(実際その方がトランセンドにとって、適性的に可能性が高くなりそうな印象)

ワンダーアキュート
スタートで大きく躓いたが、その分最内をキッチリ確保したという点で、まずは
和田Jの判断力が光ったレースだったと言えそう。
それによって、(直線では立て直す場面はあったものの)道中~上がりでロスの
ない競馬をして最後浮上した格好で、展開的にもハイペースから溜め→切れという
形で、持ち前の持久力を発揮しやすい方向へ傾いたことも大きかった。
したがって、今回は条件が揃った…という印象を少し受けて、(元々高い地力を
示している馬なので今後の期待はもちろん出来るが)次戦以降でスピード勝負に
なった場合にどこまで信頼できるか…という点には注意しておきたい感覚。

エスポワールシチー
実際には、(上がり性能などを含めて)相手の方が上だと思うが、互角くらいの
扱いで考えた場合、例え1頭分でも、外を回った方が負けるのは当然の理屈。
その意味で今回は、トランセンドが強気を見せた時点で、この馬が勝つためには
ハナに立つ選択肢しかなかった…という印象。
とにかくこのレベルで"溜めが効く"馬が他にいる以上は、中距離で巻き返すのは
さすがに難しそうで、再度頂点を争うための選択肢はマイルしかなくなった…。
その点、南部杯では明らかにやり過ぎたが、フェブラリーSでのパフォーマンス
比較では互角以上のものを見せているので、可能性としては一応残っていそう。

ラヴェリータ
スタートで少し躓きつつも、しっかり好位内を確保して、道中じっくり→直線で
切れを発揮して、最後も粘り込んだ…という内容。
とにかくこれで引退ということだが、最後のレースでも(個人的にインパクトの
強かった)昇竜Sで示した通りの、ハイペースからの溜め→切れという展開で、
この馬らしい強さを十分に発揮して締め括ったのはなかなか感慨深い。
本当にたくさんの勉強をさせてもらった1頭だった。感謝したい。

ダノンカモン
中団の外から進め、道中~勝負所で徐々に押し上げていく形で、それでも直線も
しっかり粘り込んだ…という内容。
とにかく今回は、ラップの額面以上に脚を使う格好で、上位の中でも最も不利な
立場ながら好走したという扱いになり、当然これは地力の高さを認めるべき。
次戦以降の期待はもちろん出来るし、さっさと重賞を獲って欲しいところ。

ミラクルレジェンド
位置取りからすれば、道中はじっくりという内容ではあったが、最後のラップが
落ちた区間ではしっかり差を詰めているし、なかなかの地力を示した格好。
タイプ的には、例えば来年のこの舞台などで、よりスピードに寄った形になって
どうか…という部分はあるが、最上位以外のメンバーに対しては、今後牝馬とか
馬格のなさとか関係なく、十分に期待が持てそうな雰囲気。
(また交流重賞の方へ行ってしまうのかも知れないが…)


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